スタートアップの1年を振り返る:SREからEMへの挑戦と信頼を築く技術

こんにちは、YOUTRUSTでSRE/エンジニアリングマネージャーをしている須藤(YOUTRUST/X)です。 新しい年の始まりに、YOUTRUSTで過ごしたこの1年を振り返りたいと思います。

SREとしての挑戦から始まり、気づけばエンジニアリングマネージャー(EM)としてチーム全体の成長を支える立場に。スタートアップの現場で直面した課題や、それを乗り越えるための工夫をシェアすることで、同じように挑戦するエンジニアの皆さんに、少しでも役立つヒントを届けられたら嬉しいです!

SREからエンジニアリングマネージャーへ

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去年書いたこの記事では、1人目のSREとしてYOUTRUSTに入社したときの意気込みを綴っています。入社直後は、まず現状把握からスタート。YOUTRUSTのドメイン知識を学びながら、クラウドプラットフォームの状況を確認し、必要な情報を一つ一つ整理していきました。

スタートアップ特有のスピード感に加え、「組織間に落ちているボールが多い」という状況が印象的でした。そんな中で、SREとして技術課題への取り組みに加え、チーム全体を支えるマネジメント視点の重要性を感じるようになりました。いろいろな課題が散らばる中、「自分にできることは何でもやる」精神で対応。その結果、4月にはEMも兼務することになり、SREとしての役割に加えてチーム全体の生産性を上げるミッションも担うことに。

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この記事では、この1年をSREとEMという2つの視点から振り返ります。

この1年で取り組んだこと

セキュリティチェック

利用企業からのセキュリティチェックは、スタートアップの信頼性向上に欠かせない大切なプロセスです。対応を進める中で特に感じたのは、技術的な対策だけでなく「信頼を作るための対話」が欠かせないということでした。

やり取りが何度か往復する中で、例えば「どのようにデータが守られるのか」「監査対応はどこまで可能か」など、利用企業が抱きやすい懸念を事前に想定し、具体的な答えを資料に盛り込むようにしました。この対応が、導入承認をスムーズに進める鍵になったと感じています。このプロセスを通じて、いくつかの利用企業から導入の承認をいただき、プロダクトの信頼性を一段と高めることができました。

セキュリティインシデント対策

2024年には、他社で大きなセキュリティインシデントが発生しました。それをきっかけに、YOUTRUSTでもセキュリティの見直しに取り組むことに。

クラウドプラットフォームの利点を活用し、潜在的なリスクを洗い出した結果、セキュリティの強化を実現しました。これにより、利用企業やユーザーにとって、より信頼できるプロダクト環境を提供できるようになりました。

脆弱性診断

毎年実施している脆弱性診断ですが、今年も外部ベンダーと連携し、効率的かつ正確に実施しました。

診断結果が出てからは、プロダクトチームのメンバーと協力して迅速に対応。このプロセスを通じて、ユーザーが安心して使えるプロダクトを提供するための基盤をさらに強化することができました。

ISMS認証の維持審査対応

ISMS認証の維持は、YOUTRUSTの信頼性を支える大切な取り組みです。今年も経営企画チームや各部署と連携しながら、内部監査や文書のアップデート、セキュリティ教育にしっかり取り組みました。ISMS委員会のメンバーで内部監査の準備やドキュメントの更新を分担し、短いスケジュールの中で効率的に取り組みました。

その結果、無事に審査を乗り越えることができました㊗️

システム負荷対策

夏頃、ピーク時のレスポンス低下が目立つようになり、調査の結果、スパイク時のトラフィックにECSのオートスケールが追いついていないことが判明しました。

この経験を通じて感じたのは、当然ですが「スケーリング戦略はプロダクトの成長を見越して準備するべき」ということです。スパイク時の負荷に対応するため、ECSのスケーリング戦略を見直しました。例えば、ターゲット追跡スケーリングを有効にして、トラフィック増加をより早くキャッチできるようにしました。その結果、急激な負荷にも安定して対応できる環境を整えることができました。

  1. 最大タスク数の引き上げ
  2. 複雑なステップスケーリングからターゲット追跡スケーリングへの切り替え
  3. 予測スケーリングの有効化
  4. RDSのスケールアップ

また、現在は監視ツールをCloudWatchからDatadogへ移行しており、より直感的で迅速な対応が可能になる環境を整備中です。この取り組みにより、システム運用の効率化だけでなく、対応可能なメンバーの拡大も図っています。

技術カンファレンスへのブース出展

YOUTRUSTでは例年、技術カンファレンスに協賛しているのですが、ブース出展に初参加しました。ブースではエンジニアや企業担当者から、技術的な質問や「YOUTRUSTの仕組み」に関する鋭いフィードバックをいただきました。こうした交流を通じて、技術ブランディングについて改めて考える機会にもなりました。2025年はさらに出展の質を高めるとともに、新たな技術コミュニティともつながりを作り、より広い視点から技術的な洞察を得ることを目指します。

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データマネジメントの改善余地

データ領域に正社員が不在だったこともあって、データ基盤や分析環境の改善が課題として浮き彫りになりました。たとえば、データの可視化に手間がかかり、迅速な意思決定やプロダクト改善に支障をきたす場面がいくつかありました。今年は、データ分析の効率化を目指し、現在データカタログの整備やBIツールの選定を進めています。これにより、意思決定のスピードをさらに高め、プロダクト改善のサイクルを強化していく予定です。

成長するチームを支えるには?

チームが急速に拡大する中で、「どのようにして個々のメンバーが最大限の力を発揮できるか?」と考えながら、目標設定や1on1の仕組みを整えてきました。まだまだ試行錯誤の連続ですが、これからもメンバーと向き合いながら、チーム全体が成長できる環境づくりに注力していきたいと思っています。

採用!採用!採用!

この1年で一番時間を費やしたのは採用活動でした。747件のスカウト送信、202名の方とカジュアル面談、60名の方と一次面接を実施。私が入社したときは9名だったプロダクトチームも、今では17名にまで成長し、あと数ヶ月で20名を超える見込みです。新しいメンバーが加わることで、技術的な専門性や視点が広がり、より良いプロダクト開発が進む基盤が整いました。採用を通じて、チームが少しずつ大きくなり、成長していく姿を見るのは本当に嬉しい瞬間でした☺️

弊プロダクトチーム忘年会

今年の挑戦

今年は新たなEMの参加により、チーム全体の取り組みが進化する予感があります。そこで、プロダクトやチームが次のステージに進むための基盤づくりに挑戦します。これらの課題を1つずつ解決し、さらに信頼されるプロダクトと、働きやすく成長し続けるチームを目指します👊

より解像度の高い信頼性の可視化

システムの稼働状況やボトルネックをチーム全員が直感的に把握できるようにし、意思決定のスピードを上げます。

監視体制の強化

障害発生時の対応をさらに迅速にするため、アラートの精度や対応フローを見直し、監視体制を強化します。これにより、ユーザーに安心して利用してもらえる環境を目指します。

開発プロセスのブラッシュアップ

開発効率をさらに向上させるため、ワークフローやツール(例:コードレビューのプロセス改善やCI/CDの再構築など)を見直し、チーム全体で成長できるプロセスを整えていきます。

データカタログの整備

データカタログを整備し、誰もがスムーズに必要なデータにアクセスできる環境を整えます。この整備により、分析作業を効率化し、プロダクト改善のアイデアを迅速に実現するサイクルを実現したいと考えています。

最後に

スタートアップで働くのは、毎日が新しい挑戦の連続です。この環境だからこそ得られる学びや達成感を一緒に体感してみませんか?私自身、まだまだ試行錯誤しながら一歩ずつ成長を続けています。この記事が、挑戦を続けるエンジニアの皆さんのヒントやモチベーションになれば幸いです。

もしこの記事を読んで、YOUTRUSTで一緒に新しい価値を作りたいと思ったら、ぜひ気軽にお話しましょう!

カジュアル面談であなたの経験やアイデアを聞かせてもらえると嬉しいです(Webエンジニア以外の方も大歓迎です!) youtrust.jp